ハードウェア

(CQ社,インタフェース誌7月号に書いた特集の抜粋です.)

ブロックダイヤグラム

図に簡易ML-Iのブロック図を示します.簡易ML-Iはリンクチップとして,TI社のTSB12LV31を,PHYチップとしてTSB21LV03を搭載しています.TSB21LV03(PHY)は,3個の1394ケーブルポートを装備しており,100/200MHzの1394シリアルデータバスに接続が可能です.内部に16ビットバスを持っており,この内部バスに,外部CPUとのインタフェースを行う,外部CPUインタフェース部,DMAコントローラ,Isochronousデータをバッファリングする双方向FIFO,32KWORD SRAMが接続されています.
外部CPUインタフェース部は,外部CPUからの制御により,TSB12LV31(LINK)のレジスタ制御や,FIFO,SRAMへのアクセス,DMA制御を行います.外部CPUインタフェース部と,DMAコントローラ部は1個のFPGA(FPGA1)に実装されています.FPGAは,ALTERA社のEPF10K30A-208(以後FPGA1)を採用しています.EPF10K30A-208は,VCC(デバイス用電源)と,VCCIO(IOPIN用電源)の2つの電源系を持っています.ショートピンで,VCCIO入力を+5Vと+3.3Vの電圧に切り換えることができます.ターゲットCPUの電圧レベルに応じ,インタフェース電圧を選択できます.外部CPUインタフェース部は,外部CPUのインタフェース条件と,内部バスインタフェース条件の変換を行います.外部CPUインタフェース部は,ISAのカードエッジコネクタと,PC104コネクタ,CQ出版社のPowerPC403のバスインタフェース接続用コネクタに接続されています.外部CPUインタフェース部は,標準としてISA/PC104インタフェースをサポートしています.CQ出版社のPowerPC403ボードや,その他のCPUボードを接続する場合は,FPGA1のコンフィグレーションROMを交換することにより自在にインタフェースすることが可能になります.
DMAコントローラ部は,外部CPUの制御により,双方向FIFOとSRAM間でIsochronousデータの転送を行います.
FPGA2は,BYTE-WORD変換部とユーザーファンクションを実装します.BYTE_WORD変換部はTSB12LV31(LINK)のIsochronous用ポートと,16ビット幅FIFOの間に配置され,IsochronousデータのBYTE/WORD変換と,TSB12LV31(LINK)からの制御により,FIFOへの書き込み読出制御を行います.また,基板上部に実装されている,240ピンのコネクタを通して,Isochronousデータなどを外部とインタフェースすることが可能です.ALTERA社のFPGA,EPF10K30A-240,EPF10K50V-240若しくはEPF10K100A-240が実装可能です.
FIFO部はCPUバスと,BYTE-WORD変換ブロックの間に配置され,Isochronousデータを双方向にバッファリングします.
SRAM部は,送受信したいIsochronousデータなどのバッファとして使用できます.標準のISA/PC104インタフェースでは,86系CPUを想定しており,メモリサイズ,アサインアドレスの変更や,メモリ空間,IO空間へのアサイン切り換えが可能です.


回路構成

簡易ML-IはMPUとのインタフェースとして,ISA/PC104とCQ出版社のPowerPC403とのインタフェースを持ちます.これらの信号線は,マルチに接続されています.FPGA1はVCCIOの電圧を選択することにより,インタフェースを+5V系と+3.3V系のどちらの電圧でも接続が可能です.
PC104インタフェースは,A32,B32,C0,D0,C19,D19番ピンが追加され,GNDとKEY(C19)にアサインされている以外は,ISAインタフェースと同一のピン配列を持ちます.
簡易ML-Iを紹介すると,「どうしてPCIではなくてISAなのですか.」と質問されます.これはISAインタフェースは8.3MHzといる動作上限制限があるものの,IO空間や,メモリ空間が複雑な制御もなく開放されるため,容易にレジスタを制御ができるためです.また,General Purpose用であるTSB12LV31の用途としては,PCIバスに信号をインタフェースすることではなく(PCIバスへ接続するのであれば,PCIブリッジを含んだLINKチップが用意されている),Isochronous信号をそれぞれの目的に応じたアプリケーションにインタフェースすることにあります.
簡易ML-IではFPGA2を介して外部とインタフェースできる240ピンコネクタを装備しています.高速処理が必要な,Isochronousデータは,FPGA2をプログラミングすることにより,ISAバスではインタフェースできない,様々な要求に対応が可能になります.

PC104インタフェース部のコネクタ部や,PowerPC403インタフェース用のコネクタに,ターゲットとなるCPUボードが,物理的に接続さえできれば,FPGA1の再設計によりターゲットCPUによる制御が可能になることを意味します.


回路図の一部


HDLの一部

IEEE 1394 TOP