HOME > 技術 > IEEE1394 とは > 新世代バスの分類

CQ出版社インターフェース誌に書いた特集からの抜粋です.

新世代バスの分類

シリアル/パラレルともに,新世代バスが現れています.簡単に概要説明を行います.

新世代バス

パラレル

SCSIに関して,SCSI-1,SCSI-2, SCSI-3が規格されています.しかし,それ以外に様々な呼び方がなされ,細かい定義があます.たとえば,Fast SCSI, Wide SCSI, Fast Wide SCSI, Ultra SCSI,および,Ultra2 SCSIなどの呼び方もあり,前記の規格とぴったり合うわけではありません. また,ノード間距離などはPoint-to-Pointと複数のデバイスをつなぐ場合は変わってきます.下表は正確な数字を表しているわけではありません.おおよその値です.

IEEE1394以前

SCSIもテクニカルタームにありがちな,時代とともに分類や名前が変わってしまう混乱があります.ここでは,なるべく詳しく解説しましたが,接続台数による転送速度の違い,インタフェース(Single Enedded, Differential, LVD)によって発生する違いまでの分類は行っていません.

なお,ハードディスクのインタフェースとしてはIDE(ATA)も使われています.ATAはIBM-PC/AT用のハードディスクインタフェースを規格化したものです.ATAと言うより,IDEと呼ぶ場合も多いです.現在ではIDEを拡張したE-IDEは主流になっています.E-IDEになってハードディスクの容量拡大や,CD-ROMへの対応がなされました.E-IDEもSCSIのように拡張されて,Fast ATAやFast ATA-2, Fast ATA-3などがあります.IDEでは接続できるハードディスクがSCSIに比べて少ないです.ただ,E-IDEになってマスター,スレーブにプライマリとセカンダリ,つまり4台までは接続できるようになりました.一般的なユーザには十分な台数ではないでしょうか.

現在ではFast ATAより高速なUltra ATAが現れています.ATAはSCSIより遅いと長いこと言われ続けてきました.Ultra ATAでは33MB/Secと十分高速になり,ほとんど速度差は無くなりつつあります.IDEやATAもSCSIと同様に呼び名を使い分けます.両方が1 対1で対応している訳ではありません.また,ソフトウェアから見た場合,ATAPIと言う呼び方も使われます.ATAPIもCD-ROMのようなデバイスを接続するために拡張され,バージョンによって細かな違いがあります.

シリアル

パラレルでは信号間の干渉によって速度を上げることが困難になってきました.また,8ビットや16ビットの線を引き回すのは容易なことではありません.そこに現れたのがシリアルバスです.ただ,パラレル・インタフェースの方も低電圧や差動インタフェースを利用して相互干渉を押さえ,頭打ちすると見られていた転送速度を改善しています.ですから一気にシリアル・インタフェースに移行すると言うことではありません.

IEEE1394以前

SCSI, Fiber Channel, SSAはディスクなどのコンピュータ記憶装置に着目したインタフェースです.しかし,IEEE 1394はそれらを包含した特徴を持っています.IEEE 1394は,コンピュータ,コンスーマにまたがるインタフェースとして期待されていましたが,最近,コンシューマに止まるのではないかという,観測もあります.

USB,IEEE1394に共通した特徴

IEEE1394とUSBの規格

シリアルがパラレルより高速になるのを不思議に思う人もいるでしょう.事実SCSIなどはバス幅を広げることによって高速化を行った部分もあります.しかし,ある程度高速になってくると,各信号線で干渉を起こします.つまり32ビットの信号を使うと高速化する度に各信号間でノイズを拾う可能性が高くなります.その点シリアルでは信号線が少ないですから干渉の可能性が低くなります.もっとも信号振幅などの幅を小さくしたり,DS-LINK方式を使ってクロックのマージンを大きくするなどの試みも行われています.

USB,IEEE1394の住み分け

USBは主にPCで使われることを予想している.それに比較してIEEE1394はコンピュータだけに留まらず家電製品への応用も期待されている.また,その性能の違いからコンピュータの中でもUSBとIEEE1394はうまく住み分けが進むことが予想されています.しかし,インテル社の,チップセットの IEEE1394のサポート延期,および,USB2のアナウンスで,様相に変化が生じています.

住み分け

IEEE 1394の特徴

  1. 高速
  2. リアルタイム性の保証
  3. ケーブルが細く取り回しが簡単
  4. バス・アーキテクチャ
  5. Hot Plug In
  6. Plag & Play
  7. 家庭内機器のデジタル接続を包含した国際スタンダード

高速

IEEE1394-1995では100Mbpsから400Mbpsが規定されています.その上の800MbpsやGbitクラスも1394.bでサポートされます.400Mbpsもあれば大抵の要求に応えられます.

リアルタイム性の保証

IEEE1394の特徴である,Isochronus転送を利用するとリアルタイム性の保証を受けられます.例えば,SCSIなどはデータ転送がいったん始まってしまうと,データが終わるまで,その処理にバスが専有されてしまいます.しかし,IEEE1394ではIsochronus転送によって 125μsec毎に必ず優先権がIsochronus転送へ割り当てられます.これによってリアルタイム性を保証した転送が可能です.単純な性能だけであればSSAやFiber Channel,そしれUltra SCSIも十分IEEE1394の対抗馬となりえたでしょう.

住み分け
  

ケーブルが細く取り回しが簡単

信号線が細く,取り回しが簡単です.また,安価にケーブルを提供できるというメリットもあります. 同時にバス・トポロジーが柔軟です.SCSIなどのようにデイジーチェインに固定されていません,途中にブランチを設けて枝分かれするように接続することが可能です.

バス・アーキテクチャ

IEEE1394はバスです,I/Oではありません.各装置にデータを送る場合,I/Oでデータを送る(ネットワークのように)のではなく,IEEE1212でマップされた空間を読み書きするようなアーキテクチャです.つまり,上位のレイヤから見るとIEE1394もPCIバスなどと同じようなバスです.IEE1394もケーブルが強調されていますが,バックプレーンバスとしての側面も持っています.

Hot Plug In

電源を入れたまま抜き差しできます.新しく装置を追加されたり,外したりする場合,電源をオフする必要はありません.操作が非常に簡略化されます.

Plag & Play

新しく装置を追加したり,外してもIDなどの設定は不要です.自動的にIDが割り当てられます.SCSIなどは利用者がSCSI アドレスを設定しなければなりませんでした,しかし,IEEE1394では利用者は一切感知する必要がありません.つまり,操作が非常に簡単ということです.接続するのみで使い始めることができます.

メディアコンバージェンスを担う,唯一の国際スタンダード

唯一の家庭内機器のデジタル接続を包含した国際スタンダードです.現時点では他に選択肢はありません.Apple社にライセンスフィーを払う必要はありますが,もっとも有力なスタンダードです.